So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン
美容・健康・ダイエット ブログトップ
前の5件 | -

ダークや高カカオチョコレートも食べ過ぎは危険!1日の摂取量は?



no-title

近年、カカオの効果によりダークチョコレートが健康や美容によいと言われ、いわゆる「高カカオ」と呼ばれるカカオ含有量の高いチョコレートが人気を集めています。

しかし、カカオ高配合とはいえ、チョコレートであることには変わりありません。


一昔前までは甘いお菓子の代表格で、どちらかというと体に悪く虫歯にもなりやすい印象が拭えなかった“チョコレート”。

カカオポリフェノールによる健康へのメリットが明らかになるにつれ、そんなチョコレートにまつわるイメージが少しずつ変わりつつあり、さらに甘さを抑えた「高カカオ」のチョコレートまで出現、逆に効果や効能があるとまで噂されますが、やはり食べすぎはよくないのでは…?

そんな疑問を抱いたため、ダークおよび普通のチョコレートに含まれる脂質や砂糖の割合を調べ、私たちが1日に摂ってよい総エネルギー量と比較して、毎日食べる場合に1日に摂取してもよいと思われるチョコレートの量を考えてみました。

Attention!

30~49歳の女性 (身体活動レベルⅡ“ふつう”) を対象に計算していますが、他年代の大人の女性 (18~29歳、50~69歳) でも1日の推定エネルギー必要量に大差はないので、参考にしていただけます。70歳以上の方は別です。

※「推定エネルギー必要量」については『日本人の食事摂取基準(2015年版)概要』(厚生労働省)を、また「身体活動レベル」についてはこちらを参照のこと。

●あくまでも一個人の考えです。
 実際にチョコレートの摂取量を判断する場合は、自己責任でお願いします。

●この記事で考える「1日に食べてよいチョコレートの量」は、あくまでも目安です。
 実際には、各個人の食生活や運動量などにより異なってきます。


no-title美容や健康、ダイエットにいち押しと話題のカカオ。
ポリフェノールやその他ヘルシー成分の効果効能については、下の別記事をご参照ください。

カカオポリフェノールの効果効能を120%詳解!論文へリンクもあり。
カカオニブとは?驚きの効果効能と栄養成分を120%詳解!



【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.国民生活センターが警告 ~ ダークや高カカオのチョコレートも食べ過ぎは禁物!

2.ダークチョコレートには脂肪が多い。食べ過ぎると簡単にカロリーオーバー。

① ダークや高カカオのチョコレートは、約1/2が脂肪!?
② 高カカオチョコレートに含まれる脂肪の割合から考える、1日に食べてよい量とは?

3.普通のチョコレートの半分は砂糖? 食べ過ぎると虫歯・肥満・糖尿病の恐れも。

① WHOの新指針-1日に摂取してよい砂糖の量は、わずかティースプーン6杯分。
② 国連機関はいつも欧米人を対象に考えているから、WHOの指針なんて日本人には関係ない…って本当?
③ 日本における砂糖の摂取基準は、ある? ない?
④ 普通のチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?
⑤ 高カカオチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?

4.【まとめ】脂質と糖質の含有量から考える~1日に食べてよいダークチョコレートや普通のチョコレートの量とは?

① ダークチョコレートの場合
② 普通のチョコレートの場合
CHECK! チョコレートのカカオ効果を期待できる1日の摂取量は、ほんの ○○ gで十分!

5.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介










1.国民生活センターが警告 ~ ダークや高カカオのチョコレートも食べ過ぎは禁物!


国民生活センターのWebサイトでは、高カカオと称されるチョコレートには普通のチョコレートよりも脂質の割合が高いこと、またテオブロミンやカフェインといった化学物質も通常のチョコレートより多く含まれるため、幼児やお年寄りの方、あるいは気管支拡張薬テオフィリン等を使用している方は注意が必要であること等が警告されています。

no-title 独立行政法人 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート」


また、普通のチョコレートよりもニッケルの含有量が高いことも、上記のリンク先で指摘されています。

ニッケルは金属アレルギーの発症例が高い物質なので、体質によりアレルギーの気になる方は摂取を控えたほうがよいかもしれません。


しかしやはり、チョコレートを食べる上で一般的に最も注意すべきなのは、何と言っても脂質と糖分の摂りすぎに陥らないことですね。

そこで以下、ダークチョコレートや普通のチョコレートに含まれる脂質と糖分の割合について詳しく見ていき、私たち (成人女性) が1日に食べてもよいと思われるチョコレートの量を考えてみましょう。


2.ダークチョコレートには脂肪が多い。食べ過ぎると簡単にカロリーオーバー。


① ダークや高カカオのチョコレートは、約1/2が脂肪!?


脂質については、国民生活センターの調査によると、高カカオと称する数種類の市販チョコレートには、平均して100g当たり約47gの脂肪分が含まれているそうです。

ちなみに普通の甘いチョコレートには、平均して約35g/100gの脂質が含まれています。

つまり高カカオチョコレートは、重量にして半分近くが脂質!ということになります。
こう考えるとちょっとびっくりですよね。


もちろんこの脂質はカカオ由来のものなので、レトルトや加工食品に使われるような安価な精製油脂とは異なり、それなりに効能やメリットもあるのですが、脂肪分には変わりないので摂りすぎるとやはりカロリー過剰となってしまいます。

no-titleカカオ由来の脂質に期待できる効果やメリットについては、下記の別記事に分かりやすくまとめています。
「カカオニブとは?驚きの効果効能と栄養成分を120%詳解!」
→上のページの『脂質(ココアバター)』の項目をご覧ください。



上記の国民生活センターのサイトによると、仮に高カカオチョコレートを100g食べたとすると、それだけで30~49歳女性が生活習慣病の予防のために目標とすべき脂質の1日摂取量に達してしまうということです。

国民生活センターでは 2005年度版の食事摂取基準をもとに算出しているようですが、これは現在最新の 2015年度版を参照しても事情は変わりません。






② 高カカオチョコレートに含まれる脂肪の割合から考える、1日に食べてよい量とは?


厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」を元に計算してみますと、30~49歳女性 (身体活動レベルⅡ“ふつう”) における推定エネルギー必要量は 2000kcal/日となっており、また脂質の総エネルギーに占める割合は目標量として“20~30%エネルギー”と設定されています。

つまり「30~49歳女性が1日に摂取を必要とするエネルギーは 2000kcal であり、そのうち脂質から摂ってよいのは、割合として20~30%だけ」という意味なので、実際に脂質から摂ってよい1日のエネルギー量は 400~600kcal ということになります。


そして脂質は、体内で1g当たり9kcalのエネルギーに変わる とされています。
ですので、上記の 400~600kcal を9で割って、1日に摂ってよい脂質量はおよそ 44~66g 程度だと分かりますね。

すると、市販の高カカオチョコレートは総重量の約1/2が脂質だと考えてよいので、これを100gも食べれば、それだけでおよそ 50g の脂質を摂ることとなり、確かに30~49歳女性が1日に摂取してよい脂質量の上限に達してしまうわけです。


つまり、一般的な板チョコが1枚50gぐらいなので、高カカオチョコレートを1日に板チョコ2枚分も食べていれば、明らかに過剰摂取だと言えるでしょう。

まあそこまで苦いチョコレートばかり食べている人も、あまりいないかもしれません。

しかし、チョコレートは嗜好品なので、三度の食事にプラス間食として食べることが多いと思います。

ですので、朝・昼・夕食のメニューの内容によっては、チョコレートをうっかり多めに食べすぎてしまった…というだけで、総脂質量が1日に摂取してよい限度を越えてしまうことは、いかにもあり得る話です。


脂質の摂取量については、単にチョコレートだけでなく、日頃の食事から摂る脂質量についても十分に注意を払うべきです。

健康のためにチョコレートからカカオを摂取しているつもりが、実は脂質過剰でメタボになってしまった…なんてことにならないように気をつけましょう。


ある研究結果によると、カカオ分40%以上のダークチョコレートを1日にたった10g、毎日食べれば、心臓病やその他の病気で死ぬリスクが、カカオをほとんど摂らない場合に比べて50%に減る可能性もあるというデータが出ています。詳しくは下記の別記事をごらんください。

no-title「カカオやダークチョコレートで血圧を下げて心臓病や死亡リスクも低減?オランダの高齢者研究をご紹介。」




3.普通のチョコレートの半分は砂糖? 食べ過ぎると虫歯・肥満・糖尿病の恐れも。


① WHOの新指針-1日に摂取してよい砂糖の量は、わずかティースプーン6杯分。


国民生活センターのサイトには指摘がありませんが、もう一つ忘れてならないのは、チョコレートによる糖分の摂りすぎのおそれです。

2015年にWHO (世界保健機関) は、砂糖や糖類の摂取量を1日摂取エネルギーの5%未満に抑えるべきだとする指針を発表しています。
世界的に深刻化している肥満・糖尿病・虫歯などの生活習慣病の予防を図るためです。


以前からWHOは、砂糖の摂取を総エネルギーの10%未満に抑えるよう推奨してきましたが、さらに積み重ねられた科学的エビデンスを踏まえて、5%未満へと基準を厳しくした形です。

具体的には、引き続いて10%未満を推奨しながらも、5%より低ければさらに健康増進効果が高いという内容が追加されました。


一般的な成人において、1日摂取エネルギー量の5%分の砂糖と言えば、およそティースプーン6杯分に相当するそうです。

※ 参考サイト
日本経済新聞「1日の糖類は小さじ6杯分まで WHOが新指針」






② 国連機関はいつも欧米人を対象に考えているから、WHOの指針なんて日本人には関係ない…って本当?


国連や世界機関は欧米人を主な対象として考えているから、日本人の健康や食事事情には当てはまらない…WHOの発表についてはそのように捉える日本人も多いようですが、実はそうではなく、今や糖類や肉類の過剰摂取は、新興国のアジア・インド・アフリカなどの、それも富裕層だけでなく中間から貧困にかけての社会層においても深刻な社会問題となりつつあります。

なぜ決して富裕とは言えない階層にそのような問題が広がっているのかというと、安価なジャンクフードやレトルト食品にこそ、精製された砂糖や油脂、そして脂身の多い安価な肉類がたくさん使われがちだからです。

とにかくそのような世界事情を鑑みた上、各国で研究された科学的エビデンスの集積に則って正式に示されたWHOの指針は、私たち日本人にとっても決して無関係ではないものと私は考えます。

糖類・油脂・肉類がたくさん使われた安価なジャンクフードやレトルト食品が広く普及している…これはまさに現代の日本の食を取り巻く状況ですからね。


③ 日本における砂糖の摂取基準は、ある? ない?


ちなみに日本国内では未だに、糖類摂取の基準が厚生労働省からは明確に発表されていません。

その理由としては、日本人において糖類摂取に関する調査や研究が不十分であり、その基準を設けるだけの科学的根拠が不足しているため、とのことです。


こちらのリンク先を読むと、今度新たに策定される「日本人の食事摂取基準(20年版)」に糖類の摂取基準が初めて記載されるかのような内容であり、少し期待してしまいます。

ですが、厚労省のサイトにある食事摂取基準(20年版)策定委員会の資料 () を覗いてみますと、やはり糖類については、日本人の摂取実態を把握するための研究データの蓄積を今後の課題とし、糖類の健康に及ぼす影響に関しては「定性的記述を追加する」ことで、これまでとの変更点としているようです。

第3回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会資料 「ワーキンググループからの報告事項について(策定方針及び策定の基本事項等)」PDFの21ページを参照。


つまり「科学的データが少ないから具体的な基準の数値は明らかにしないけど、やっぱり糖分の摂りすぎはよくないから注意してね、という旨の文言はちゃんと記載します」ということのようですね。

これでは、はっきり言って無意味でしょう。

なぜって糖分を摂りすぎてはいけないことぐらい国民の誰もが知っているわけで、でもそれではどこまでが許容範囲でどこから先が“摂り過ぎ”なのか? がよく分からないから、具体的な摂取制限の方針が立たず困っているわけです。


さまざまな研究機関や大学、メーカーがこぞって○○という食品や成分の効果効能を事細かに解析して「これこれこのような効果があるからヘルシーです!」なんて内容を次々と学会で発表し、新商品の宣伝に大いに役立てているというのに、最も基本的な糖類の摂取基準を定めるだけの研究が国家規模で未だに進まないなんて、本当にどういうことなのでしょうか?

やはり食品業界の反発が邪魔をしているとしか考えられないのではないでしょうか。

それなら、一体いつになったら国民の砂糖の摂取状況の調査が進み、具体的な限度量を定めるだけの科学的エビデンスが蓄積されるのか、厚労省が糖類摂取基準を策定する見通しは全くほど遠いと言わざるを得ません。 


※参考資料:
Buisiness Journal「厚労省、20年に日本初の糖類摂取量基準策定へ~消費者庁の対応次第では非表示の懸念も」
第3回 日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会資料「ワーキンググループからの報告事項について」







④ 普通のチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?


話が逸れてしまいましたが、このようなわけで日本国内における糖類の摂取基準が存在しませんので、前述のWHOが示している指針を元に考えたいと思います。

一例として某メーカーのミルクチョコレート50gのうち、栄養成分表示によると「糖質」は25.7gとなっています。

この糖質とは、原材料から考えてそのほとんどが“砂糖”に由来するものと思われます。

つまり、高カカオチョコレートにおいては重量にして約半分が脂質でしたが、ミルクチョコレート等に代表される普通のチョコレートにおいては、その約半分は糖質≒砂糖による糖分なのです。


厚生労働省が示している「日本人の食事摂取基準 (2015年版) の概要」によりますと、30~49歳女性が1日に摂取してよいエネルギー量は 2000kcal となっています。

そしてWHOが示した基準では、そのうち砂糖などの糖類から摂ってよいエネルギーは5%、多くても10%まで、とのことですので、2000kcal の5~10%、つまり 100~200kcal 分の糖類を1日に摂取してよいことになります。

糖類1gは体内で約4kcalのエネルギーに変換されるので、100~200kcal分の糖類を重量に直すと25~50gとなります。

つまり30~49歳の女性については、1日に摂取してよい糖類の量は、厳しい新基準の5%で考えると25gまで、従来からの10%で考えても50gまで、となります。

ちなみに18~29歳、50~69歳の女性についても大差はありません。
(18~29歳女性の推奨される1日摂取エネルギー量は1950kcal、50~69歳女性は1900kcal)


そして上に見たように、砂糖25gといえば、一般的な板チョコ1枚に含まれる量です。

高カカオのチョコレートを一度に50g食べることはまれかもしれませんが、通常の板チョコなら、チョコレート好きの方であれば場合によってはぺろりと?平らげてしまうかもしれませんね (^^;)

しかしそこに、食事に使われる砂糖や糖分も含めれば…WHOが勧告している1日の糖類摂取量を軽く越えてしまうことになります。


チョコレートだけでなくお菓子を食べたり、缶ジュースや甘味料入りのコーヒー・紅茶を飲むこともあるでしょう。

さらには三度の食事に出るおかずにも、酢の物・煮物・炒め物などに砂糖は調味料として使われます。ソースやケチャップにも砂糖が添加されています。

それらを考え合わせると、やはり脂質の摂取と同様に、チョコレートを食べるときだけでなく、日頃の間食や食事においてできるだけ糖分の摂取を控えるよう心がけることが大切です。

その上で、普通のチョコレートを毎日食べるなら、多くても1日に板チョコ 1/5~1/3枚 (10~17g程度) に抑えておくのが無難でしょう。


⑤ 高カカオチョコレートに含まれる砂糖の割合から考える、1日に食べてよい量とは?


高カカオチョコレートに含まれる糖分については、一例として某メーカー製のカカオ成分72%を含むチョコレート商品において、栄養成分表示に(5g当たり) 糖質1.6g」と記載がありました。

↓↓こちらですね。
no-title

つまりこのチョコレート商品の場合、重量にして約30%が砂糖であると考えられます。


この72%チョコレートを、板チョコ1と2/3枚分の量を食べれば、WHOの勧告から計算した1日25gの砂糖摂取限度量を越えてしまいますね。


高カカオのチョコレートを1日にそれほどたくさん食べるケースは、少ないかもしれませんが、間食だけでなく通常の食事から摂る砂糖の量も考慮しなければならないでしょう。

ですので、多くても1日に板チョコ1/3~1/2枚分程度 (およそ15~25g) に抑え、それ以上は控えたほうがよいでしょう。

近頃さかんに健康や美容の効果が噂される高カカオのチョコレートであっても、やはり過剰摂取とならないように気をつけたいものです。


※参考資料:
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」(pdf)
食品安全委員会「世界保健機関(WHO)、ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」を発表」







4.【まとめ】脂質と糖質の含有量から考える~1日に食べてよいダークチョコレートや普通のチョコレートの量とは?


① ダークチョコレートの場合


ダークや高カカオのチョコレートは、脂質の含有量の高さが目立ちますが、同時に糖分が総重量の3~4割を占め (カカオ分72%のチョコレートの例) 、意外にも砂糖が多く含まれていることが分かります。

一般的な成人女性が1日に摂るべき総エネルギー量2000kcalから考えた場合、1日に摂ってよい脂質および糖分の量、そしてこれを単純に高カカオチョコレートの重量に置き換えた量を、以下にまとめてみます。

●脂質 (から考えた場合)
  1. 1日に摂ってよい脂質の総量…約44~66g (分かりやすく真ん中を取って、約55g)
  2. 高カカオチョコレートに含まれる脂質の割合…約50%
  3. 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい脂質量が含まれる高カカオチョコレートの重量
    約110g


つまり、1日に高カカオチョコレートをおよそ110g (板チョコにして約2枚強) も食べれば、1日に摂取が許容される脂質の限度量に達してしまうことになります。


●糖分 (から考えた場合)
  1. 1日に摂ってよい砂糖の総量…約25g (未満)
  2. 高カカオチョコレートに含まれる砂糖の割合…約30%
  3. 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい砂糖量が含まれる高カカオチョコレートの重量
    約83g


つまり、1日に高カカオチョコレートをおよそ83g (板チョコにして約1枚と2/3枚) も食べれば、1日に摂取が許容される砂糖の限度量に達してしまうことになります。


さらに、1日のうちに食べるのはチョコレートだけではありません。
他の間食や飲み物、そして三度の食事においても、私たちは自分が思う以上に脂質も糖分も多く摂取しています。

それらを考え合わせると、毎日のチョコレートの摂取は、たとえダークや高カカオであっても、せめて板チョコ1/3~1/2枚分 (約16~25g) に抑えておきたいところです。


② 普通のチョコレートの場合


俗に“ミルクチョコレート”等の名称で販売されることも多い、カカオ分の少ないいわゆる普通のチョコレートは、糖分が総重量の約半分を占めます。

また脂質の含有割合は、国民生活センターの調査によると、平均して約35%だということです。


一般的な成人女性が1日に摂るべき総エネルギー量2000kcalから考えた場合、1日に摂ってよい脂質および糖分の量、そしてこれを単純に普通のチョコレートの重量に置き換えた量を、以下にまとめてみます。

●脂質 (から考えた場合)
  1. 1日に摂ってよい脂質の総量…約44~66g (分かりやすく真ん中を取って、約55g)
  2. 普通のチョコレートに含まれる脂質の割合…約35%
  3. 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい脂質量が含まれる普通のチョコレートの重量
    約157g


つまり、1日に普通のチョコレートをおよそ157g(板チョコで約3枚強)も食べれば、1日に摂取が許容される脂質の限度量に達してしまうことになります。


●糖分 (から考えた場合)
  1. 1日に摂ってよい砂糖の総量…約25g (未満)
  2. 普通のチョコレートに含まれる砂糖の割合…約50%
  3. 1.と 2.から計算した、1日に摂ってよい砂糖量が含まれる普通のチョコレートの重量
    約50g


つまり普通の甘いチョコレートの場合は、およそ83g(板チョコ約1枚)を食べただけで、1日に摂取が許容される砂糖の限度量に達してしまうことになります。


さらにチョコレートだけでなく、他の間食や飲み物、そして朝・昼・夕の食事においても、私たちはたくさんの脂質も糖分を摂取しています。

それらを考え合わせると、普通の甘いチョコレートを毎日食べるならば、多くても1日に板チョコ1/5~1/3枚 (10~17g程度) に抑えることを強くおすすめします。






③ チョコレートのカカオ効果を期待できる1日の摂取量は、ほんの ○ gで十分!


ダークや高カカオのチョコレートは一般的に総重量の4~8割、普通のチョコレートでも3~4割のカカオ分を含んでおり、別記事にご紹介したカカオポリフェノールの効果を期待できるのは事実のようです。

しかし、ミルクにしろダークや高カカオにしろ、チョコレートは基本的に、脂質や砂糖の含有量が高い食品です。


従来から言われるように、脂質の摂りすぎがカロリーオーバーとなり、高コレステロールや動脈硬化を招く要因となり得ることは間違いありません。

しかし近年では特に、砂糖や異性化液糖をはじめとする糖分の過剰摂取が、高血糖やインスリン抵抗性によって血管を老化させ、高血圧・心臓病・ガンなど深刻な生活習慣病のリスクを増加させることが明らかになっています。


決して砂糖を甘く見てはいけないということです。

脂質とともに砂糖をもたくさん含んでいるチョコレートは、くれぐれも食べ過ぎないよう注意が必要です。


では、毎日チョコレートを食べてカカオの効果を得たいと思うなら、1日に最低限どれぐらいのチョコレートを食べれば十分なのでしょうか?

答えは…“ほんの少量” でいいんです。


毎日たった10g程度のダークチョコレート(カカオ分40%) を摂取することで、高血圧を予防し、心臓病やその他あらゆる要因による死のリスクを低減させる可能性を示唆する研究結果が存在します。

この研究は、オランダの高齢者を470人を15年間にわたって追跡調査したもので、資金提供もオランダの公的な医療関係機関などによって行われており、信頼に値する科学的データです。


カカオ分40%のチョコレートで10gということは、カカオ分70~80%のチョコレートなら、1日にわずか5gも食べれば十分だということになります。

チョコレート5gといえば、板チョコにして約1/10、また某メーカーの『カカオ効果○%』シリーズの商品ならたった1枚です。

これなら、チョコレートから摂ってしまう糖分もわずか 1.5gで済みます。
これは、1日に摂取してよい砂糖の限度量のわずか6%にしかなりませんので、とりあえずは糖分の過剰摂取を気にしなくてよいですね。


上記にご紹介したオランダにおける高齢者研究についての具体的な内容と解説は、下記の別記事に詳しくまとめましたので、参考にご覧ください。

no-title「カカオやダークチョコレートで血圧を下げて心臓病や死亡リスクも低減?オランダの高齢者研究をご紹介。」




5.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介










nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

カカオやダークチョコレートで血圧を下げて心臓病や死亡リスクも低減?オランダの高齢者研究をご紹介。



no-title


近年、チョコレートやココアに含まれるカカオの効能が注目され、特にカカオポリフェノールには、血管機能を改善して血圧を下げたり、心臓病や脳卒中など心血管疾患を予防する効果が期待できるということが、各国の研究データから示されつつあります。

先日の記事では、カカオの効能に関する最も有名な疫学研究として、パナマの先住民族クナ人を調査したハーバード大学のスタディをご紹介しました。
ダークチョコレートやカカオで高血圧や心臓病の予防効果!?パナマでの研究をご紹介


今回の記事では、カカオの効能を示唆した疫学研究の中から、もう一つ、本格的な追跡調査をご紹介したいと思います。

これは、世界的に有名なアメリカの生理学者、アンセル・キーズ氏が中心となって行った「七ヶ国共同研究」の一環として、オランダ・ズトフェンの高齢者を15年にわたって追跡したものです。

※この記事でご紹介する研究の原典としての論文は↓こちらです。
JAMA Network “Cocoa Intake, Blood Pressure, and Cardiovascular Mortality”


※また、参考となる日本語で分かりやすいサイトは↓こちら。
日経メディカル「ダークチョコレート10g分のカカオを摂り続けると、心血管死とあらゆる原因による死亡リスクが半減する」



no-title美容や健康、ダイエットにいち押しと話題のカカオ。
ポリフェノールやその他ヘルシー成分の効果効能については、下の別記事をご参照ください。

カカオポリフェノールの効果効能を120%詳解!論文へリンクもあり。
カカオニブとは?驚きの効果効能と栄養成分を120%詳解!




【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.オランダ・ズトフェンで高齢者を追跡調査-カカオの摂取で高血圧・心臓病・あらゆる死因リスクが減少

① どんな研究?
② 研究の具体的な内容
③ 研究の結果
④ この研究の信憑性は?
⑤ 1日にどれくらいのチョコレートを食べれば、このような効果が期待できるの?

2.【まとめ】カカオに効果が期待できるのは事実かも。でもチョコレートの食べ過ぎには注意して。

3.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介









1.オランダ・ズトフェンで高齢者を追跡調査-カカオの摂取で高血圧・心臓病・あらゆる死因リスクが減少


① どんな研究?


この研究は、かの有名な「七ヶ国共同研究」をさらに継続して行われた『ズトフェン高齢者研究 (The Zutphen Elderly Study)』の一環です。

七ヶ国共同研究 (The Seven Countries Studies) とは、1950年代から活躍していたミネソタ大学の生理学教授アンセル・キーズ氏が、各国の研究者に仲間を募って1958年から開始された、心血管疾患と栄養摂取との関わりを世界7ヶ国にまたがって約20年間、疫学調査したものです。

高血圧や動脈硬化に始まり、血管の炎症・老化で引き起こされる心臓病や脳卒中は、当時からアメリカ人の死因を大きく占める病気であり、これらの予防や改善法の確立がアメリカの国家的な急務となっていたのです。

※ アンセル・キーズ氏や「七ヶ国共同研究」、また心血管へ悪影響を及ぼす食品は何かの議論において、アメリカで半世紀にわたり繰り広げられた脂質vs.砂糖の攻防については、↓↓こちらの別記事をどうぞ。



このキーズ氏のグループによる世界にまたがる25年間の研究において、肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸の摂りすぎが、心臓病や冠動脈疾患など重大な血管疾患の主要な原因となり得ることが明らかにされました。

さらにこの七ヶ国共同研究は、心血管疾患を引き起こす要因を究明する25年もの調査が終了したのち、追跡対象者が高齢化したため、以後は心血管疾患に限らず高齢者の健康全般に視点を広げ、食生活を含めた生活習慣との関連性を研究するべく追跡調査が継続されました。 


そのうち、オランダでの研究を引き継いだ「ズトフェン高齢者研究」は、オランダ・ヘルダーラント州のズトフェンという町で、約470名の高齢者を対象に1985~2000年まで15年間実施されました。

この「ズトフェン高齢者研究 (The Zutphen Elderly Study)」において、この研究に携わったオランダ国立公衆衛生環境研究所のBrian Buijsse氏が、カカオの摂取により血圧が下がること、また心血管疾患による死亡率、およびあらゆる原因による死のリスクが減少することを、調査の結果として発表しています。


※ 参考資料:
日経メディカル「ダークチョコレート10g分のカカオを摂り続けると、心血管死とあらゆる原因による死亡リスクが半減する」
Seven Countries Study"Healthy ageing"
Seven Countries Study"Chocolate and cardiovascular disease"






② 研究の具体的な内容


小規模で短期間の介入試験 (例えば被験者を10人ずつの2グループに分け、1つのグループにはチョコレートxg、もう一つのグループには同様のプラセボチョコを毎日食べることを2週間続けてもらい、摂取前と後の健康状態を比較する等) においては、カカオ製品の摂取によって血管内皮機能が改善して血流がよくなる、あるいはインスリン感受性が増して血糖値が下がる…等、ヒトの健康に有益な効果が現れるというデータが幾つも示されています。

ただしそのような研究結果だけでは、長期間摂取した場合の効果の有無や、その他のからだへの影響、また個人差によらず誰にとっても効果があると言えるのか…等の疑問が残ります。

また、このようなカカオの効果が具体的にどの程度のものなのか、心臓病や糖尿病など重大な血管疾患の発症リスクを低減できるまでに至るのかどうか、それも判然としません。

さらにこの種の実験においては、被験者に毎日100g (一般的な板チョコは1枚約50g) 以上という多量のチョコレートを食べてもらうなど、一般的な人々の食生活にその結果を応用するにはあまりにも非現実的と思われるケースも少なくありません


それに対して、上記「七ヶ国共同研究」を引き継いだこのズトフェン高齢者研究においては、研究者が介入することなく、オランダの一つの町ズトフェンに住む住民から慢性疾患のない470人の高齢者に参加してもらい、聞き取りや食料の購入状況からカカオの摂取状況を調査した上、15年もかけて彼らの生活や健康状態を追跡し、途中で死亡したケースについてはその死因をデータに加えて分析したものです。

カカオの摂取状況については、研究の始まった1985年における食事調査では、対象者の1/3がカカオを摂取しておらず、対象者を調査から推測したカカオの摂取量に応じて以下のような3つのグループに分けました。

データ数
(人数)
カカオ摂取量の
データ範囲 (g/日)
カカオ摂取量の
中央値 (g/日)
① 最高三分位群
(カカオの摂取量が最も多いグループ)
156 2.90 - 6.10 4.18
② 第2三分位群
(カカオの摂取量が中間的な範囲のグループ)
149 0.60 - 1.45 0.92
③ 最低三分位群
(カカオの摂取がほとんどないグループ)
165 0 - 0 0


そして、調査開始時の1985年に対象者全員の健康状態と食生活・その他の生活習慣を調査してベースラインとし、以後90年、95年、2000年の3回にわたって同様に調査、これを上記3つのグループに分けて比較分析しました。

ちなみに、彼らのカカオ摂取の約2/3はチョコレートによるものとされています。





③ 研究の結果


カカオの摂取により、血圧が低下。

得られたデータを、血圧に関連する主要な交絡因子 (※) による影響が出ないように調整すると、結果は下表のようになり、カカオの摂取量は最大血圧および最小血圧と逆相関の関係にあることが分かりました。

(※) 交絡因子… 調べようとする要因以外のもので、その病気の予防および改善や悪化に影響を与えるような要因となり得るもの。
例えばこの調査では、ココア摂取以外に血圧の高低に影響を及ぼしそうな「年齢・BMI・食生活・身体活動・飲酒や喫煙・アスピリンや抗血液凝固剤の使用」等の因子について調整した数値を示しています。

血圧の平均値 (mmHg) ※カッコ内はデータの範囲
最大 (収縮期) 最小 (拡張期)
① 最高三分位群 146.5 (144.0-149.1) 82.3 (80.9-83.7)
② 第2三分位群 149.0 (146.7-151.3) 83.8 (82.5-85.1)
③ 最低三分位群 150.2 (147.7-152.8) 84.4 (83.0-85.8)
①-③ -3.7 -2.1


つまり、①の最もカカオ摂取の多いグループは、③のほとんどカカオを摂らないグループに比較して、最大血圧が平均で3.7mmHg、そして最小血圧が平均で2.1mmHgも低い ことが分かります。

日本人における70歳代男性の血圧平均値は、最大血圧が144.1mmHg、最小血圧が86.8mmHgです (2010年)。
なお日本高血圧学会は、前期高齢者 (65~74歳) の降圧目標を診療室血圧で 140/90mmHgと定めています。

こうして見ると、収縮期血圧-3.7mmHgという違いがいかに大きくて重要であるか が分かるのではないでしょうか。

ちなみに上記のオランダにおける高齢者の平均血圧値 (特に収縮期) は、日本人に比べると①の最高三分位群の数値でさえかなり高めだと感じますが、もともと北欧は世界的にも血圧の高い地域であることを考慮すればよいと思います。


心血管疾患およびあらゆる病気による死亡リスクが低下。

1985~2000年の間の追跡調査中に、314人の対象者が死亡しました。
そしてこのうち152人の死因は、心血管疾患によるものでした。

彼らの生前のデータと死因を解析したところ、カカオ摂取量の増加に伴って、心血管疾患による死亡、そしてその他のあらゆる死亡リスクが減少することが示されました。

この結果が、以下の表です。
上記の血圧に関するデータと同様、年齢やBMI、生活習慣などの交絡因子を調整してあります。

心血管疾患およびあらゆる原因による死の相対リスク ※③の数値を“1.00”とした場合
③ 最低三分位群 ② 第2三分位群 ① 最高三分位群
心血管疾患による死 1.00 0.70 0.50
あらゆる原因による死 1.00 0.73 0.53


心臓病や血管疾患ばかりでなくあらゆる原因による死亡のリスクが、③のカカオをほとんど摂らないグループと比べて①のカカオ摂取量が高いグループはおよそ半分の割合にまで減っています

②のカカオ摂取量が控えめのグループにおいても、やはり③と比較すると約7割にまでリスクが減少しているのが分かります。


先にも述べましたように、この研究では身体活動や食習慣の違いなど、カカオ摂取以外に発症リスクを左右するかもしれない要因については極力調整を施してからデータを出してあります。

しかし、それでも完全に影響を排除できるとは言い切れない可能性についても、この研究に携わった専門家は論文の中で言及しています。

その辺りの事情については下記のリンク先 (この論文の原文) に詳細が書かれています。
気になる方は当たってみてください。
JAMA Network“Cocoa Intake, Blood Pressure, and Cardiovascular Mortality The Zutphen Elderly Study”


とりあえず主要な交絡因子は可能な限り取り除いたデータですので、カカオの効能のほどを理解するためなら大いに参考になる研究だと思います。





④ この研究の信憑性は?


先にも述べましたように、この研究は「ズトフェン高齢者研究」の一環です。

ズトフェン高齢者研究とは、世界的な生理学者アンセル・キーズ氏によって始められた「七ヶ国共同研究」という有名な追跡調査の延長線上にあるスタディです。


研究に当たったのは、オランダ国立公衆衛生環境研究所に勤務するBrian Buijsse氏らのグループです。

また、七ヶ国共同研究に資金提供しているのは、下のリンク先を見ても分かりますように、健康や公衆衛生の問題に携わる公的機関ばかりです。利益を共有するメーカー関連は一切ありません。
Seven Countries Study"Sponsors"


このように公共的色彩が極めて強い研究であること、また15年間も費やし、研究者の介入なしに行われた純粋な観察研究であること、さらに、最初からカカオ摂取の効能の調査を目的とした研究とは異なり、考えられる様々な因子の中から心血管疾患に関わるものを突き止めるべく、コホート (研究に参加する集団) の心臓や血管などの健康状態、食事内容、生活習慣など、影響があると推測されるあらゆる要因について幅広く調べ上げていること等から、他にも多数あるカカオ関連の研究の中でも最も信頼に値する研究結果であると思われます。


※参考資料:
日経メディカル「ダークチョコレート10g分のカカオを摂り続けると、心血管死とあらゆる原因による死亡リスクが半減する」
JAMA Network “Cocoa Intake, Blood Pressure, and Cardiovascular Mortality”
The Seven Countries Study “Chocolate and cardiovascular disease”



⑤ 1日にどれくらいのチョコレートを食べれば、このような効果が期待できるの?


このオランダの研究では、カカオの摂取量が最も多いグループにおけるカカオ摂取量には個人差がありましたが、全体の中央値は 4.18g/日 でした。

つまり単純に考えれば、1日に約4g強のカカオを摂取すれば、上記の調査結果に表れたような効果が期待できることになります (あくまでも参考です)。

カカオを全く摂らないケースと比べて、血圧の上昇を抑えたり、心血管死やその他の病気による死のリスクを低減したり…といったようなことです。


約4g強のカカオといえば、ビターチョコレートやダークチョコレートと呼ばれるカカオ分の多いチョコレートの、およそ 10g に含まれるカカオの量に相当します (カカオ分が40%以上含まれるチョコレートを、ビターチョコレートやダークチョコレートと称します)。

チョコレート10gがどのくらいかと言えば、いわゆる一般的な板チョコがおよそ50gですので、その1/5程度ですね。
意外と少ない量で十分なのです。


つまりチョコレートに含まれるカカオに効果があるからと言って、チョコレートをたくさん食べればよいというわけではなく、板チョコ (ビター) 1/5 程度を毎日食べ続ければある程度の効果が期待できる…ということが研究の結果から示唆されたわけです。

もちろんカカオ成分が身体に良いわけですから、チョコレートに限らずココアを飲んだり料理に利用したり、あるいはカカオニブやカカオ豆を食べる…などの摂り方も考えられます。





2.【まとめ】カカオに効果が期待できるのは事実かも。でもチョコレートの食べ過ぎには注意して。


ここでご紹介したオランダの高齢者研究や、パナマにおけるクナ民族の疫学調査、あるいは各国で行われた多数の臨床試験による結果から、カカオ豆に含まれるポリフェノールなどの成分には、高血圧・心臓病・脳卒中など種々の血管疾患を予防する効果が期待できると見ることも可能なのではないかと思います。

けれども、毎日カカオを摂るとすれば、できればカカオニブやカカオ豆を利用するなど、なるべく砂糖なしで自然のままのカカオポリフェノールを摂取したいですね。

カカオポリフェノールの摂取を目的としてチョコレートを毎日少しずつ食べるのであれば、普通の甘いチョコレートではなく、多少苦くてもやはりカカオ含有量の高いチョコレートをお勧めします。


甘いチョコレートは、食べ過ぎはよくないと分かっていてもついついたくさん口に入れてしまいがちですよね。

一方、カカオ分70~80%のものになると、同じチョコレートでもわずかな苦みの違いがほどよいブレーキとなり、1~2片も食べれば満足してストップすることができるのです。


チョコレートの“摂りすぎ”が身体に良くないという事実は、従来から全く変わっていないことに注意が必要です。

そしてそれは、ビターやダークのチョコレートも同様です。

この点については国民生活センターが警告を発しています。

この警告の主な内容や、高カカオチョコレートを1日の摂取量(大人の女性)については、下記の別記事にまとめましたのでご参考ください。
オススメ! ダークや高カカオチョコレートも食べ過ぎは危険!1日の摂取量は?


3.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介










nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

ダークチョコレートやカカオで高血圧や心臓病の予防効果!?パナマでの研究をご紹介



no-title


近年、チョコレートやココアなどカカオを含む食品に、健康や美容への効果が大いに期待されています。

特に、ダークチョコレートやビターチョコレート、あるいは高カカオチョコレート等と呼ばれる、カカオの含有量の多いチョコレートを毎日少量ずつ食べると、心臓病・高血圧・動脈硬化など血管由来の生活習慣病の予防に効果があるとの噂も広まっています。


そこでこのブログでは、チョコレートを始めとするカカオ製品が血圧の上昇を防ぐ、あるいは心血管疾患から身体を守ると言われる契機となったさまざまな各国の科学的研究の中から、比較的規模が大きく信頼できそうな2つの疫学調査について、詳しくご紹介したいと思います。

その2つの疫学調査とは、↓こちらです。
① パナマのサンブラス諸島における、先住民クナ族についての研究 (この記事)。
オランダのズトフェンにおける高齢者研究。オススメ !


※この記事でご紹介する研究の原典としての論文は↓こちらです。
Flavanols, the Kuna, Cocoa Consumption, and Nitric Oxide


※また、参考となる日本語で分かりやすいサイトは↓こちら。
日経Gooday「高カカオチョコレートの継続摂取で高血圧改善?」
「ココアは次世代の特効薬 ハーバード大学医学部のクナインディアン研究」



no-title美容や健康、ダイエットにいち押しと話題のカカオ。
ポリフェノールやその他ヘルシー成分の効果効能については、下の別記事をご参照ください。

カカオポリフェノールの効果効能を120%詳解!論文へリンクもあり。
カカオニブとは?驚きの効果効能と栄養成分を120%詳解!



【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.パナマ共和国サンブラス諸島、クナ族とカカオと血圧の関係についての研究

① どんな研究?
② 研究の具体的な内容・結果
③ この研究の信憑性は?

2.【まとめ】カカオ成分に効果が期待できるのは事実のよう。でもチョコレートの食べ過ぎには注意

3.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介










1.パナマ共和国サンブラス諸島、クナ族とカカオと血圧の関係についての研究


① どんな研究?


カカオの健康効果を世に知らしめた最も有名な研究として、パナマ共和国のサンブラス諸島に住む先住民族クナを調査したデータがあります。

これは、ハーバード大学医学部教授であるホレンバーグ氏が、主に高血圧を予防・改善するための遺伝子学を研究していた際、ヒトの加齢が進んでも血圧の病的な上昇がほとんど見られないクナ族に注目し、その文化的背景や生活形態、そして食生活などについて、血圧や血管疾患との関連から長期にわたって調べたものです。


ちなみにクナ人と言えば、女性が美しい飾り布“モラ”をまとっていることで有名ですね。
元々はコロンビアの先住民でしたが、大航海時代に進出してきたスペイン軍から逃れるように、現在のパナマ沖の島々に住むようになりました。

※ クナ族について詳しくは ↓↓ こちら
絶対に会いたい!少数民族大図鑑「クナ族(パナマ)」


1990年代当時からアメリカでは、心臓病や糖尿病の罹患率・死亡率の高さが大きな社会問題となっており、それらの発症リスクを高める高血圧症について、主に遺伝子の影響によるものであるとの仮説を元に、高血圧を促進する遺伝子を発見するための研究が国家的なプロジェクトとして進められていました。

そしてハーバード大学の本院的な位置づけにあるボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院も、アメリカ国立衛生研究所から選ばれ、遺伝子学からのアプローチによって高血圧症の原因を突き止める研究に取り組んでいました。


しかしその研究に従事していたホレンバーグ氏は、高血圧を促進する遺伝子が単独ではなくポリジェニック (とても多くの遺伝子が関わること) であることが明らかになるにつれ、これらの遺伝子を特定や排除、無効化するといった治療は大変困難であるとの認識を持つようになり、むしろ逆の発想から「高血圧から身体を保護する遺伝子」がないかどうかを探求する研究を始めるようになりました。

そしてそのために目を付けたのが、パナマ共和国のサンブラス諸島で現在でも伝統的な生活を営む少数民族である“クナ”と呼ばれる人たちでした。


クナ族は、500年以上前からその島々で、外の環境や文化とは隔てられた生活を続けており、かつ 加齢に伴う高血圧や心血管疾患がほとんど見られない ことでも知られていました。

そのため、もしも高血圧症が遺伝的な影響を大きく受ける病気であれば、何百年もの昔からその小部族以外に混じり気のない血筋を守り続けているクナ族の身体を調べれば、血圧の上昇を強力に防いで生体を保護するような遺伝子が見つかるはずだと考えられます。

またさらに言えば、近代になって島を出てパナマの都市部に移住したクナ人が多数いますが、彼らにもやはり同様の遺伝子が存在するために高血圧症や心臓病とは無縁であると推測されます。


しかし実際に調査した結果、都市に移住し、西洋風の生活習慣にすっかり慣れてしまったクナ出身者は、欧米人と同じく年齢とともに血圧が高くなるということが一般化していることが判明しました。

つまり、島にいて昔ながらの文化を守って暮らしているクナ人が高血圧にならない理由は、決して遺伝子によるものではないということになります。

そこでホレンバーグ博士の調査グループは、次に伝統的なクナ民族の生活習慣や環境、特に食生活について調べることにしました。





② 研究の具体的な内容・結果


no-title

サンブラス諸島のクナ民族と先進国の食生活を比較したとき、幾つかの特徴的な違いといえば、例えばクナのほうが魚食が多いこと等が挙げられます。

もちろん魚油に多く含まれる不飽和脂肪酸 (DHA、EPAなど) も、血圧の病的な上昇を抑えるのに役立つ成分です。

けれども後述するように、島に住むクナ人と都市に移り住んだクナ出身者との間には、年老いてからの血圧値に決定的に大きな差があり、これを説明する根拠として魚油の作用だけではあまりにも不十分です。

また、クナ人のほうが西洋人よりも食事の塩分量が少ないのでは? という疑問も浮かぶかもしれませんが、調査の結果、クナの伝統料理には塩分が多く使用され、島に住むクナ人のほうが一般的な西洋人や都会のクナ出身者よりも塩分摂取量がかなり高いことが分かりました。


では、日頃の食事においてさらに何か違いがあるのでしょうか?
実はあと一つ、クナの食生活には明らかに他とは異なる大きな特徴がありました。

クナ人たちの住む島には伝統的に、カカオをすりつぶした飲料を一日に5~7杯、毎日飲む習慣がある のだそうです。

これは先進国で市販されている一般的なココアと違い、天然のカカオをすりつぶす以外に何の加工も精製も施していないので、カカオ本来のポリフェノールがそのまま豊富に含まれているそうです。

一方、島からパナマの都市部に移住したクナ出身者は、そのような食文化を失って西洋人と同様の食生活を送っているため、天然のカカオをたくさん飲むことはほとんどありません。


ホレンバーグ博士らは、サンブラス島在住のクナ人と都市部のクナ出身者について、血圧や健康状態、死因などを調査し、比較してみました。

すると、島に住む伝統的なクナ民族は、都会に住むクナ出身者よりも有意に血圧が低く、また心臓病、がん、糖尿病などの生活習慣病による死亡率が明らかに低いことが判明したのです。

しかも、都会に住むクナ出身者よりも島在住のクナ人のほうが塩分摂取量が高いにも関わらず、です。

それが数値的にどれほどの差であるかは、下のリンク先の資料をご覧ください。
日経Gooday「高カカオチョコレートの継続摂取で高血圧改善?」


ポリフェノールと血圧の関係については、他の研究においても、ワイン・紅茶・カカオ等のポリフェノールが血管内皮の一酸化窒素の生成を促進して血圧を下げるという多数のデータが存在します。

また、島に住むクナ人の尿からポリフェノール代謝物が極めて高濃度に検出されることから、ホレンバーグ博士らは、カカオに豊富に含まれるポリフェノールがクナ民族を高血圧から守り、ひいては心疾患や脳卒中などあらゆる生活習慣病の発症リスクを低減している可能性がある と主張しています。






③ この研究の信憑性は?


クナ民族とカカオと高血圧の関連を調べたこの研究は、遺伝子学からのアプローチに始まって1990年代初頭から2000年代後半にかけ、20年近くも費やされた本格的な疫学調査です。

元はアメリカ国立衛生研究所から要請を受けた、高血圧の予防・改善を目指す国家プロジェクトの一環としての研究であり、ハーバード大学と極めて関係の深いブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究グループによって始められました。

バクスター財団からも資金提供を受け、島在住のクナ人の腎機能や食生活についての調査など、費用と時間のかかる研究が継続的に行われました。


ちなみに、クナ民族が毎日5杯以上を飲むという天然のカカオ飲料について栄養素の分析を行ったのは、チョコレートやお菓子の製造販売で有名なアメリカの食品会社 “マース (Mars, Incorporated)” です。

このマースの分析によって、クナが飲んでいるカカオには、私たちが普段嗜好品として飲む一般的なココア飲料とは異なり、エビカテキンやプロシアニジンといったフラボノイド類 (ポリフェノールの一種) が豊富に含まれていることが分かりました。


この研究結果を受けて…かどうかは知りませんが、マースは現在「ココアプロ (Cocoa Pro)」という極めてフラボノイド含有量の高いココア製品を売り出しています。

一方、ごく一般的に市販されているココア製品は、消費者の好みに合わせて加工や精製されており、クナ人の飲む天然カカオや上記のココアプロに比較し、わずか5%のフラボノイドしか含んでいないという試験データもあるようです。


それはさておき、このホレンバーグ博士によるクナ人とカカオの調査のように、食品メーカーがスポンサーとして資金提供している研究は世の中にたくさんありますが、このような研究の中には、メーカーの利益に合致する都合のよいデータのみを公表したり、あるいは最初から意図した結果が出るように条件設定してから実験を行うといった、必ずしも公平で信頼できるとは言えないデータが存在するのも事実です。

しかし私としては、長い年月をかけ、しかも現地の先住民族のありのままの食形態を調査して示されたこの疫学研究の結果は、ある程度信頼に値すると見てよいのではないかと思います。


とにかく、カカオとヒトの健康との関連を調査した研究としては、このクナ族研究は最も有名なものといってよいでしょう。

一応、世界的に有名な製菓会社であるマースが関連していることは、考慮しておいてもよいかもしれません。


参考資料:
日経Gooday「高カカオチョコレートの継続摂取で高血圧改善?」
日経トレンディネット「心血管系疾患に対する、ココア、チョコレートの影響」
“Flavanols, the Kuna, Cocoa Consumption, and Nitric Oxide”
“Vascular Action of Cocoa Flavanols in Humans: The Roots of the Story”
「ココアは次世代の特効薬 ハーバード大学医学部のクナインディアン研究」
The Harvard Gazette“Cocoa shows promise as next wonder drug”
ynyoo.com“Kilder til Kuna Cocoa”







2.【まとめ】カカオ成分に効果が期待できるのは事実のよう。でもチョコレートの食べ過ぎには注意


ここでご紹介したパナマのクナ人における調査や、オランダの高齢者を対象に行われた追跡調査、あるいは各国で行われた多数の臨床試験による結果を見ても、チョコレートやココア等のカカオ食品には、カカオ豆に含まれるポリフェノールなどの成分により、高血圧・心臓病・脳卒中など種々の血管疾患を予防する効果が期待できる可能性を、ある程度は認めてもよいと言えるのではないかと思います。

ただし、やはりチョコレートは食べ過ぎないように注意を払いたいものです(^^;)。


特に近年、ポリフェノールの効果をうたって市販されているカカオ含有量の高いチョコレートについては、国民生活センターのWebサイトでも過剰摂取に陥らないよう警告されています。

以前から常識的に言われているように、チョコレートには脂質と糖質が多いことがいちばんの問題です。くれぐれも「カカオポリフェノールが身体にいい」という合い言葉を、チョコレートをついつい食べ過ぎてしまう言い訳に利用しないよう自戒してくださいね。

no-titleダークや高カカオチョコレートについて、食べ過ぎが危険な理由と1日に許される摂取量 (大人の女性) を、具体的に計算して下記の別記事にまとめました。参考にどうぞ。
ダークや高カカオチョコレートも食べ過ぎは危険!1日の摂取量は?



3.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介


※しばらくお待ちください m(_ _)m





nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

ポリフェノール・パラドックスの謎…吸収されにくいのになぜ効果があるの?



no-title

緑茶やコーヒーなどの飲み物をはじめ、野菜や果物に豊富に含まれるポリフェノール。

抗菌・抗酸化・抗炎症などの優れた作用を発揮することから、血管や組織の若々しさを保ち、健康維持や生活習慣病の予防ばかりでなく、美容やダイエットにまで大きな効果を期待されています。

幾多の研究や実験により、ポリフェノールの摂取が明らかに動物やヒトの身体に良い影響を及ぼすことは、今や専門家の間でも疑い得ない事実 となりつつあります。


しかし一方で、ポリフェノールは 体内への吸収率や利用率が非常に小さいということもよく言われます。

そんなポリフェノールが、どうして顕著な効果効能を示すことができるのか?


この記事では、科学者にとっても大きな疑問であり、未だにはっきりとは解明されていないこの「ポリフェノール・パラドックス」について、専門家が日夜さまざまな研究や検証を進めながら、現在時点で考えられている幾つかの興味深い仮説を分かりやすく解説したいと思います。






1.「ポリフェノール・パラドックス」って何?


これまで行われた多くの疫学調査や介入試験の結果では、ポリフェノール類を摂取すれば心血管疾患などを効果的に予防できることが明確に示されています。

しかし他方、もともと植物の機能成分であるポリフェノールは、摂取しても生体に異物と認識され、大半が消化吸収されない、もしくは吸収されてもさらにその多くが代謝分解されてしまい、元の化合物としての機能を発揮できなくなることが指摘されています。


この『消化吸収されにくいはずなのに、摂取すると明らかに何らかの効果がある (と推測される)』というポリフェノールの矛盾した特性を「ポリフェノール・パラドックス」と呼びます。


このポリフェノール・パラドックスが、

「ポリフェノールは体にいいから、摂取すると健康や美容に効果的!」
「いや、消化の際に分解されるか排泄されてしまうから、食べてもほとんど関係ない!」


という終わりのない議論を、世間やマスコミばかりでなく医学者や栄養学者といった専門家の間にまで引き起こしているのですね。


2.ポリフェノールはどうやってヒトの体に効果をもたらす? ポリフェノールの体内動態に注目


もちろんポリフェノールの中にも、運良く腸管から吸収され、消化酵素や肝臓での代謝分解を免れたまま血液中に入り、つまり元々のポリフェノールの形を維持して体内を巡るものも存在します。

しかしそれはあまりにも微量であることから、それだけで顕著な抗酸化やその他の生理機能を現すと考えるには不十分であると主張する研究者も多数います。

つまり、糖質やタンパク質など、他の栄養素と同様に血液に運ばれ全身に作用するという従来の概念からは、ポリフェノールには目に見えるような健康や美容の効果を期待することは難しいというわけです。


そこで、ポリフェノールが口から摂取されてから体内でさまざまな効果を示すまでの間、どのようなプロセスを経てどの部位に作用を及ぼすのか、ポリフェノールの体内動態 に注目が集まり、解明が進められています。






① 食物繊維と同じく、ポリフェノールは腸内細菌に分解される?


消化管から吸収されにくいということは、逆に考えれば、食物繊維やレジスタントスターチのように、大腸にまで届いて腸内環境に有用な働きをする可能性があります。

実際に動物実験では、脂質や糖分の多いエサを与えて腸内環境を悪化させたラットに、プロシアニジンというポリフェノールの一種を摂取させると、善玉菌が増えて腸内環境が回復したり、腸管バリア機能が強化されて体内の炎症を抑え、肝臓の脂質代謝も改善することが示されています。


しかし一方、研究によると、ポリフェノールを摂取した後の糞便を調査してみても、ポリフェノールの種類にかかわらず検出される代謝物は同じであるということです。

つまり、ポリフェノールの種類によって生理活性が異なる現状を顧みると、消化管から吸収されなかったポリフェノールが腸内で一定の良い効果をもたらすのは事実だとしても、多様な生体調節機能が腸内作用によるものであるという仮説は成り立ち難いことになります。


② 運動と同じく、ポリフェノールは交感神経を刺激する?


ヒトの場合は、ポリフェノールを摂取してから2~4時間という短時間の間に、一過的に心拍数や血圧が上がり、その後に血管内皮機能がよく働いて血圧が正常に戻るという反応が現れます。

また動物実験によれば、ポリフェノール摂取後に血流量やエネルギー代謝量が上がり、また血中アドレナリン量も増えます。

つまりここから、ポリフェノールを摂取したことで交感神経が刺激され、アドレナリン等の神経伝達物質が放出されたことにより、血液循環やエネルギー代謝の亢進といった反応が現れたことが考えられます。


このように、ポリフェノールを摂取後に体内に起こる一連の反応は、「健康のために適度な運動が必要である」という話がよく出ますが、“運動”による効果と酷似している そうです。

運動、つまり筋肉や骨格を動かす行為をすると、そこにかかる物理的ストレスによる刺激が中枢神経に伝わり、中枢神経が交感神経を刺激して神経伝達物質を放出し、それを受けて全身に生理反応が引き起こされます。


特に血管系について言えば、心拍数が上がって血管が収縮し、血圧が上がります。

すると、このような変化を受けて、今度は血管内皮細胞がそれらを元に戻すため、一酸化炭素を生成して血管を弛緩させ、再び血圧を正常レベルまで低下させます。

そして、適度な運動を毎日の習慣としていると、この一連の反応が繰り返される中で、一酸化炭素生成の促進や内皮細胞の増殖など、良い意味での血管の再構築や新生が行われ、血管を若く保ち血圧の上昇を防ぐことができると言われています。







③ 香辛料と同じく、ポリフェノールは知覚神経に作用する?


もう一つ参考として、交感神経を刺激する食品といえば、香辛料の辛み成分、すなわちカプサイシンやアリルイソチオシアネート等があります。

これらは、消化管に存在する知覚神経を通して交感神経に作用することが知られているので、ポリフェノールによって同じことが起きるか、動物実験を行いました。

すなわち知覚神経を除いたラットにポリフェノールを投与して、正常のラット同様に血液循環やエネルギー代謝を亢進させる反応が出るかどうかを見てみました。

結果としては、知覚神経を除いたラットにおいてはこれらの反応は起こらなかったため、摂取されたポリフェノールは、少なくとも一部は消化管の知覚神経に認識され、そこから交感神経に作用する可能性が示唆されました。


3.ポリフェノールの作用メカニズムはいまだに謎。でもいろんな効果効能が期待できるのは事実。


このように、消化管からの体内吸収が極めて少ないと考えられるポリフェノールについては、他にもさまざまな体内への作用ルートの可能性を探って、現在でも世界であらゆる研究が行われています。

未だに謎の多いポリフェノールの体内動態ですが、少なくとも多くの介入試験や疫学調査により、その摂取による多様な生理機能、その結果としての炎症系の疾病-心血管疾患やアレルギー等の予防や改善の効果は明らかなものとされています。


そのメカニズムの解明については、科学的技術と知識の最先端にいる一流の研究者たちでさえ四苦八苦しているのですから、私たち一般人には到底、うかがい知ることもできない深遠な領域です。

しかし昔から言われるように、自然由来のあらゆる食品をバランス良く摂る、特に 穀類・野菜・豆・ナッツなど植物由来の食べ物を欠かさない…などシンプルな食生活の指針を守ることが、大切な健康や若々しさを維持する一番の近道であることは確かなようです。


参考資料:
ポリフェノールパラドックス 生体利用性と機能性の矛盾 ポリフェノール研究の新たな展開 ~腸内細菌叢への着目~



4.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介










nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

ポリフェノールの抗酸化効果を化学構造で説明。多く含む食品は何?



no-title

野菜や果物をはじめ、緑茶やコーヒー、ワイン等にもポリフェノールは豊富に含まれています。

摂取すると体内から活性酸素を除去してくれる“抗酸化作用”が強いとされるポリフェノールは、ストレスや化学物質の影響で日々活性酸素にさらされ続ける現代人に欠かせない「第7の栄養素」として、その健康や美容の効果に大いに注目が集まっています。

ダイエットに役立つ素材としても、話題に上ることも多いかもしれませんね。


多くの介入試験や疫学調査の結果から、血管の老化を防ぎ、心疾患や動脈硬化など怖い生活習慣病の発症リスクを下げる、さらには骨粗しょう症や認知症の予防効果まで期待できると言われるポリフェノール。

しかし一方で、脂質やタンパク質などの栄養素と違い、腸から体内への吸収率が極めて低いとされるポリフェノールが、一体どうやって抗酸化作用やその他の生体調節機能を顕著に発揮し、上記のようなあらゆるメリットを私たちにもたらすことができるのか?

この謎は「ポリフェノール・パラドックス」と呼ばれ、あらゆる研究・解析技術が進んだ現在でもなお、各国の専門家によって科学的探求が精力的に続けられている興味深い分野です。


この記事では、



このようなポリフェノールについてとても関心の高い疑問に対し、分かりやすくご説明したいと思います。

【目次】

★見出しタイトルの一覧です。
ブログの仕様上、リンクはできませんが、スクロールして興味ある個所からご覧ください。

1.ポリフェノールに“抗酸化作用”が期待できるのはなぜ? そのメカニズムとは?

2.ポリフェノールに、肥満や生活習慣病予防などあらゆる効果を期待できるのはなぜ?

3.ポリフェノールが炎症を抑制する仕組みとは? それによる具体的な効果とは?

① 抗酸化作用によるもの
② 植物種や異性体によっても異なる、それぞれの生体調節機能によるもの
③ 炎症の抑制により、ポリフェノールに期待される効果や効能とは?

4.“ポリフェノール・パラドックス”の謎とは?

5.ポリフェノールの含有量が多い食品には何がある?

6.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介









1.ポリフェノールに“抗酸化作用”が期待できるのはなぜ? そのメカニズムとは?


カカオに限らず、緑茶やワイン、果物やスパイス等に含まれるあらゆるポリフェノール類には「抗酸化作用がある」と言われます。

ポリフェノール (polyphenol) の“ポリ”とは、「複数の、多数の」という意味を表す接頭語です。

そして“フェノール”とは、ベンゼン環に水酸基 (OH:酸素原子1個と水素原子1個が結びついたもの) が幾つか結合した化学物質を言います。


ベンゼンという物質は、石油やアルコールの仲間であり「芳香族」に属します。

このベンゼンに多く含まれる“ベンゼン環”は、6個の炭素原子が環の形に繋がって正六角形をなし、その各炭素原子に水素原子が1個ずつ結合した構造をしています。


下の図ですね。
no-title

がベンゼン環の化学構造 (Cが炭素原子、Hが水素原子)。
これを慣習的に のように書き表すことがよくあります。


このベンゼン環のうちの水素原子1個が、水酸基 (上にも書きましたが、酸素原子1個+水素原子1個)に置き換わったものが“フェノール”と呼ばれる物質です。
no-title

上記のベンゼン環と比較して、外側のHの1つがOHに置き換わっているのが分かると思います。
ちなみにフェノールも、同じく のように書き表します。


そして、このフェノールが幾つも重合したり、糖やタンパク質などと結合して複雑な構造を為しているものが「ポリフェノール」と呼ばれます。

つまりポリフェノールは、その構造に水酸基“OH”をたくさん持つことになるのです。

例えば、カカオや黒大豆に多いエビカテキンやプロシアニジンと呼ばれる物質は、下の図のような構造になっています。
no-title
「プロシアニジンの機能性」より引用させていただきました。

エビカテキンにもプロシアニジンにも、水酸基“OH”が外環に数多く付いているのが、上の図からもよく分かると思います。


この、酸素原子1個と水素原子1個の結合物である水酸基は、その性質として “非常に素早く酸化されやすい” という特徴があります。

従って、ポリフェノールが私たちの体内に入り活性酸素に出会うと、細胞膜やコレステロールなど 酸化のリスクが高い組織や成分の代わりに自らがいち早く酸化される ことで、これらの大切な脂質が酸化されダメージを受けるのを防ぎます。

またそれと同時に、ポリフェノールを酸化した活性酸素自身は還元されて酸化力を失いますから、活性酸素の無害化=除去がそこで行われたことになります。


さらに水酸基には、金属イオンを捕捉する能力があるため、ポリフェノールは体内に遊離する銅や鉄イオン等をつかまえてそのまま自らが排泄されることで、金属イオンを体外に排出する“キレート作用”があります

金属イオンは往々にして酸化反応の引き金となりやすいため、このキレート作用もまた、ポリフェノールの抗酸化力を支えていると言えるでしょう。

以上が、全般的なポリフェノールによる抗酸化作用の具体的なメカニズムです。


参考資料:一般財団法人 日本食品分析センター「ポリフェノールと抗酸化性」





2.ポリフェノールに、肥満や生活習慣病予防などあらゆる効果を期待できるのはなぜ?


これらの抗酸化作用が私たちの身体にもたらす具体的な効能としては、

  • ・肌・血管・内臓機能などの老化を防ぎ、若々しさや健康を維持する。
  • ・ガン・動脈硬化・アレルギーなど、さまざまな生活習慣病や現代病のリスクを抑える。

…などが挙げられます。


あるいは逆に言えば、上記のような健康上のメリットの大半が、要は ポリフェノールの優れた「抗酸化作用」によってほぼ説明が付いてしまう と言っても良いでしょう。


ポリフェノールの強力な抗酸化作用のメカニズムは、これまで述べてきた化学構造上の理由だけに留まりません。

単にそれ自体が活性酸素を還元しやすい性質を持つだけでなく、ポリフェノールは あらゆる機能を持った情報伝達物質として細胞間を行ったり来たりして、多彩な生理活性を及ぼす ことが知られています。


特に、ストレスや加齢により血管や脂肪組織で多発してしまう“炎症反応”に対し、いろんな受容体に結合したり酵素を活性化するなど、細胞に直接作用して体内の抗炎症システムを促し、最終的に炎症を鎮めるためのサポートをする働きは、動脈硬化やガンなど重篤な生活習慣病の発症リスクを低減する効果を大いに期待できるものです。

ポリフェノールになぜこのような効果を期待できるのか、それをより明確に理解していただくためには、次項にご説明する『ポリフェノールが炎症を抑制する仕組みとは? それによる具体的な効果とは?』をご覧いただくのが一番の近道かと思います。






3.ポリフェノールが炎症を抑制する仕組みとは? それによる具体的な効果とは?


① 抗酸化作用によるもの


現代社会に深刻な広がりを見せる、動脈硬化をはじめとしたさまざまな血管疾患 (高血圧・糖尿病・心不全・脳卒中、その他) やガン、アレルギーなど、私たちを脅かす さまざまな生活習慣病が“炎症”と大きな繋がりを持っています

特に、炎症がなかなか収束しないうちに次の炎症が発生し…ということの繰り返しで、体内に常に炎症が起こっている「慢性炎症」の状態は、自覚症状のないうちに全身の血管を傷つけて細胞や組織の老化を招き、上記のような命に関わる現代病の発症リスクを高めます。

no-title

炎症 とは、ウィルスや化学物質など外敵の侵入、あるいは紫外線など外からの悪い刺激によって身体の組織が損傷を受けたときに、外敵から身を守り、そして損傷した部分を修復しようとして起こる生体反応です。

特に、外から入ってきた有害な異物を駆逐するために、白血球など免疫細胞が総動員され、免疫細胞は体内でつくり出された “活性酸素” を用いて対抗します。

活性酸素には、相手を酸化させて無力化するという毒性があるので、有害な異物を殺菌や消毒するのに有効なわけですね。


ところがこの活性酸素の毒性は、当然ながら私たち自身の生体組織にとっても有害であり、活性酸素が体内に過剰につくられてしまうと、今度は自らの細胞や組織を傷つけてしまいます。

こうして自らの細胞や組織が活性酸素に傷つけられると、そこで再び生体保護のために炎症反応が引き起こされ、免疫細胞と活性酸素がそこに集まってしまいます。

つまり、いったん炎症反応が過剰に大きくなってしまうと、活性酸素が次から次に増えてしまい、炎症が炎症を呼びいつまでたっても収まらないという事態になってしまうのです。


ということは、逆に活性酸素を減らすことができれば、一つの炎症が鎮まろうとするときに余分な活性酸素のせいで次の炎症を引き起こしてしまう…といった事態を少なくしていくことで、徐々に炎症を抑え、体内に平和な健康状態を取り戻すことができますね。

その働きが大いに期待されるのが、先にご説明したように、水酸基 (OH) の多い化学構造で活性酸素を還元・無害化する能力の高い“ポリフェノール” であり、その抗酸化力で炎症時に生じる余分な活性酸素を無害化して、血管や組織の炎症を抑えることができると考えられます。


② 植物種や異性体によっても異なる、それぞれの生体調節機能によるもの


no-titleまたポリフェノールは、単に自らが抗酸化物質として働くだけでなく、血管内皮細胞の内外を出入りしたり細胞同士を行ったり来たりする 情報伝達物質 として働きます。

そして、活性酸素をつくり出す酵素や過酸化脂質をつくり出す酵素を不活性化し、細胞による活性酸素の生成を抑えることで、血管の炎症をしずめる作用もあると考えられています。

さらにポリフェノールの種類によっては、血圧を上昇させるアンジオテンシンという酵素を不活性化する、インスリン分泌を促すインクレチンと呼ばれるホルモンの分泌を促す…等、私たちの健康に役立つ個々の生理作用を持っていることが明らかになっています。

ポリフェノールには、元は同じ物質であってもその複数がさまざまな形で結合した無数の ポリマー と呼ばれる重合体が存在し、このように少し結合の仕方や分子量が違うだけでも、その発揮する生理作用も異なってくることが知られています。


③ 炎症の抑制により、ポリフェノールに期待される効果や効能とは?


このように、抗酸化力やその他の生理機能により万病の元となる炎症をしずめる作用を持つポリフェノールは、特に 血管炎症を起源とする動脈硬化や心疾患・脳卒中など、現代人の死因の上位を占める生活習慣病の予防効果が大いに期待 されています。


さらに、若い人をも苦しめる アレルギー や、女性の悩みの種である 肌荒れ なども、活性酸素を元凶とする炎症や免疫反応を抑えることで改善や予防に繋がるとされます。





4.“ポリフェノール・パラドックス”の謎とは?


ポリフェノールの摂取が体内に及ぼす影響については、ヒトを使った試験や年月をかけた調査など規模の大きな研究が幾つも行われ、抗酸化・抗炎症・心血管疾患の改善や予防などの効果が確かに現れることは科学的に示されているといってもよいようです。

しかし一方で、ヒトの腸管から吸収されにくい、あるいは吸収されても分解代謝されてしまうため、ポリフェノールという物質そのものの血中濃度はどうしても低いものになってしまう…という状況の中で、なぜそれほどに顕著な作用を発揮できるのか…これが「ポリフェノール・パラドックス」と呼ばれ、最先端の医学・栄養学的知識を持ってしても未だに解決できない大きな疑問です。


しかし、世界中の優秀な研究者たちが日夜さまざまな研究を続けて真相解明のアプローチを行っており、そこから幾つかの興味深い仮説が現れてもいます。

この“ポリフェノール・パラドックス”を巡る最新の科学的知見については、以下の別記事に分かりやすくまとめていますので、よろしかったらご覧ください。
オススメ! ポリフェノール・パラドックスの謎…吸収されにくいのになぜ効果があるの?



5.ポリフェノールの含有量が多い食品には何がある?


少し前まではポリフェノールと言えば、ブルーベリーやなすに多いアントシアニン、大豆のイソフラボン、玉ねぎやブロッコリーに含まれるケルセチンなど、野菜や果物に多いイメージがあったような気がします。

しかし今では、むしろ 緑茶、コーヒー、ワイン、ココアなど、飲み物系にポリフェノール含有量が高いものがある ことが知られていますね。


下の図は、少し前の資料ですが、東京農業大学があらゆる植物性食品の機能性成分を解析して作成した「ポリフェノール含量ピラミッド」です。

これを見ると、ポリフェノールの多い食品は何かが一目で分かるので、毎日のヘルシーな食生活に大いに役立てていただけるかと思います。

no-title

※下記より引用させていただきました。
東京農業大学 「食と農」の博物館 展示案内 (東京農業大学Webサイト内の pdf)




6.カカオ・チョコレートの効果効能など関連記事のご紹介








nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康
前の5件 | - 美容・健康・ダイエット ブログトップ
広告スペース
Copyright © ナイス!トピックス All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます
Designed by KAETENテンプレート